ランドクルーザーの始まり:トヨタジープBJ型
昭和26年(1951年) |
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ランクルの始まり:トヨタジープBJ ※ランクルモーターショー@MEGAWEB
ランクルの始まりは第二次世界大戦後間もない昭和26年(1951年)。
米軍と警察予備隊(自衛隊の前身)の要請により「トヨタジーブBJ」という名前で誕生しました。
「ジープ」という名称は自然発生的に生まれ、当時の日本国内では「四輪駆動車」=「ジープ」と表現していることが多かったこともあり「トヨタジープ」と命名。「BJ」の名前の由来は水冷直列6気筒3386ccのB型ガソリンエンジンと、SB型トラックのシャーシを改良したJ型シャーシを採用したことによります。
この時に警察予備隊の要請に応えて納入を狙ったのが三菱ジープとトヨタジープ、日産パトロール4W60。結果的に警察予備隊に採用されたのは三菱ジープとなりました。敗れたトヨタジープは国家警察(警察庁の前身)の関係者を呼んで富士山の6合目まで登る快挙を達成。この結果を受けて国家警察のパトロールカーとして採用されることになりました。
その後「ジープ」という名前がウィリアム社の商標権に抵触することをを受け、1954年6月「ランドクルーザー」と改名。今なお続くランドクルーザーの伝説が始まったのです。そして現在、トヨタの中で最も長く使われている車名となっています。
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ランクル20・30系
昭和30年(1955年)~昭和35年(1960年) |
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初代ランドクルーザー
ランクル20系 FJ25
※SEMA SHOW(セマショー)
トヨタジープBJ型からランドクルーザーへと改名したことを受け、フルモデルチェンジを行いランクル20系がデビュー。このランクル20系はトヨタが初めて本格的に海外進出を果たしたモデルと言われています。
国内デビュー当初はショートボディーのみで、トヨタジープBJよりもホイールベースを若干短くすることで機動性を向上、その分エンジンを前側にずらすと共にリアフレームを延長する事で居住スペースを広げました。さらに足廻りもリーフスプリングの改良とゴムブッシュの採用により乗り心地を改善しました。
翌年にはホイールベースを若干延長したモデルを発売、さらに消防用にF型ガソリンエンジンを積んでフレームを延長したFJ型を発売。後にこのF型エンジンが一般モデルにも採用され、国内ではF型エンジンが主流となります。
北米市場も含め輸出が好調になるにつれ、本格的に輸出向けとしてロングボディー4ドアモデルのFJ30系がラインナップされることになります。
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昭和35年(1960年)~昭和59年(1984年) |
ランクル20系の後継モデルとしてランクル40系が登場しました。デザインはランクル20系をストップランプやグリルの変更など少し改良した程度でしたが、シャーシ関係を改善・改良し、フルモデルチェンジとなりました。
デビュー当初の型式はFJ40:ショートの幌・FJ43:ミドルの幌・FJ45V:ロングのハードトップの3種類。エンジンはランクル20系で評判の良かったF型ガソリンエンジン(水冷直列6気筒3878cc)を小し変更してそのまま採用。デビューから約13年間、多少の変更はあったものの、ランクル40系に搭載されていたエンジンはこのF型ガソリンエンジン一種類のみでした。
その後、FJ45Vの後継モデルとしてFJ55Vがデビュー。FJ40:ショートの幌・FJ43:ミドルの幌・FJ55V:ロング、という形で40系と並行して55系が販売されることになります。
※この時からランクルモデルは「2モデル」同時に販売されることになります。
『走破性と耐久性を追求した本格派クロカン四駆モデル』は40系→70系
『乗り心地や走行安定性も意識した乗用向け四駆モデル』は55系→60系→80系→100系→200系
昭和49年(1974年)、オイルショックなどの時代背景も有り、それまでガソリンエンジンのみだったランクルに国内初のディーゼルエンジンエンジンを搭載。この時のエンジンはダイナにも積んでいた実績のあるB型(水冷直列4気筒2977cc)ディーゼルエンジン。(トヨタジープBJに積まれたB型はガソリンエンジン。同じ名称が付けられていますが異なるエンジンです。)型式はBJという名称がつけられ、この頃以降、BJと言えばディーゼル。というイメージが定着する事になります。
ディーゼルエンジンを搭載する事により国内では「4ナンバー小型貨物登録」が可能となったことや、その後に設定されたLパッケージなどの乗用をイメージしたモデルが登場することによって、登録台数も増えることになりました。
昭和59年(1984年)11月にランクル70にバトンタッチ。24年間という長きにわたって販売され続けたランクル40の歴史は幕を閉じることになりました。
※ランクル40系の中古車情報とさらに詳しい解説はこちら※
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昭和42年(1967年)7月~昭和55年(1980年)7月 |
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ランクル56
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観音開き(観音開きと上下開きの設定があります)
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56と60カスタムデモカー
ランクル40系の中でもロングボディーのFJ45Vの後継モデルとしてFJ55Vがデビュー。
当時販売されていたガソリンの40系はFJ40・FJ43・FJ45Vの3種類。その内のロングボディー:FJ45Vの後継モデルとしてデビューしたのがFJ55Vです。ショートのFJ40・ミドルのFJ43・ロングのFJ55Vという形で、40系と並行して販売されました。
ランクルシリーズの中でもロングボディーで「静粛性と乗り心地を兼ね備えた四輪駆動車」という位置づけで開発。現代の高級志向SUVの先駆けとなったモデルがこのランクル55・56系です。
エンジンはFJ40系に使われていたF型エンジン(水冷直列6気筒4サイクル3878cc)を小改良してそのまま採用。ミッションは3速コラムMTが標準装備され、オプションでフロア3速MTとフロア4速MTが選択できました。ブレーキは4輪ドラムでブレーキブースターもオプション設定。今では当たり前の装備のラジオやシガライターだけでなく、ヒーターやウィンドウォッシャーまでもオプション設定でした。
昭和50年(1975年)2月、エンジンをF型エンジンから2Fエンジンへと変更、FJ55VからFJ56Vへとマイナーチェンジしました。この2Fエンジン(F型をボアアップした水冷直列6気筒4サイクル4230cc)は後にランクル60初期にも搭載されるエンジンで、トルクもあって今でも根強い人気を誇るエンジンです。
北米市場を強く意識して作られたランクル55・56系はディーゼルエンジンを積まなかった事もあり国内では販売が振るわず、今では中古車で見つけるのはなかなか困難なモデルとなっています。
※ランクル50(55・56)系の中古車情報とさらに詳しい解説はこちら※
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昭和55年(1980年)8月~平成元年(1989年)12月 |
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前期丸目
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後期角目
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観音開き(観音開きと上下開きの設定があります)
ランクル56系の後継モデルとしてデビュー。
ランクル56に引き続き、ロングボディータイプのみの設定で「静粛性と乗り心地を兼ね備えた四輪駆動車」という立ち位置は変わらず、ショート・ミドルの40系と、ロングボディーの60系という形で並行して販売されました。ランクル56では2Fガソリンエンジンのみの設定でしたが、ランクル60系デビューの際には2Fガソリンエンジンに加え、3Bディーゼルエンジン(4気筒3431cc)もラインナップ。その後、2Hディーゼルエンジン(6気筒3980cc)も追加されます。
しばらくしてランクル40系がランクル70へとバトンタッチ。本格派オフロード生活重視のランクル70系と乗用車ムードを持つ四輪駆動車のランクル60、という立ち位置で並行して販売されることになります。
ランクル60は丸目2灯(前期)でデビュー、マイナーチェンジで角目四灯(後期:最後の2年ちょっと)となります。また、グレードやオプション・年式等によりハイルーフ・ロールーフ(標準ルーフ)や観音開き・上下開き、そしてオーバーフェンダー有モデルと無しモデルなど、外観も内装も様々なラインナップが存在します。
平成1年(1989年)にランクル80系へとバトンタッチすることになりますが、独特なスクエアなスタイルは今もなお日本はもちろん世界中で根強い人気を誇ります。
※ランクル60系の中古車情報とさらに詳しい解説はこちら※
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昭和59年(1984年)11月~平成16年(2004年)7月 ・ 平成26年(2014年)年8月~平成27年(2015年)6月・令和5年11月~ |
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令和5年に再再販されたモデル
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1年限定で再販されたモデル(76バン)
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平成16年に生産終了した最後のモデル(76セミロング)
ランクル40系の後継モデルとしてデビュー。
ランクルの原点ともいえる走破性と耐久性を追求した本格派ともいえるモデルです。
40系のロングボディーが55系として生まれ変わって以来、40系~70系は本格派モデル。55系~60系~80系~100系~200系は乗用車感覚を兼ね備えたモデルとして言わば2種類のランクルが同時にラインナップ、販売されることになりました。
55系~200系のモデルでは、海外モデルを含めボディーサイズは4ドアロングの一種類のみであるのに対し、40系~70系モデルでは数種類のボディーバリエーションが存在しました。
70系国内モデルでは、ショート・ミドル・セミロングの3種類を設定し、用途に合わせて選べるという事が特徴です。また、エンジンはディーゼルのみのラインナップとなりました。
NOxPM法(ディーゼル規制)などの時代背景も有り、平成16年7月に国内販売は終了しますが、海外では販売が継続されます。
70系デビュー30周年を迎えた2014年8月、異例とも言われた1年限定で国内再販復活。
再販モデルはガソリン車のマニュアルのみの設定、ボディーは4ドアセミロング(76)とダブルキャブピックアップ(79)の2種類のみの設定となりました。
2023年11月、再度国内販売が復活(再再販)。再再販モデルはディーゼルのオートマのみの設定で4ドアセミロングの3ナンバーワゴン1種類のみとなりました。
※ランクル70系の中古車情報とさらに詳しい解説はこちら※
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平成2年(1990年)1月~平成9年(1997年)12月 |
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ブラックコンプリート
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角目四灯クラシックコンプリート
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丸目換装クラシックコンプリート(Ver.2)
ランクル60の後継モデルとしてデビュー。
開発当初は平成1年10月に60から80へフルモデルチェンジを行う予定が2か月ずれ込み平成2年1月となりました。
56系、60系に引き続き、4ドアロングボディーのみを設定。「耐久性と実用性を追求した本格派70系」と「静粛性と乗り心地を兼ね備えた四輪駆動車80系」という立ち位置で70系と同時にラインナップ、販売されました。
80へのマイナーチェンジの際の代表的な変更点はサスペンション。当時悪路走破性と耐久性に対して絶大な信頼を得ていたリーフリジットサスペンションを乗り心地と走行安定性を求めてコイルリジットサスペンションへと変更したのです。
現在では80のサスペンションは世界中で評価され、信頼されており、ランクル100系へとモデルチェンジされた後もオーストラリアを始め諸外国の強い要望により「ボディーはランクル100で足回りは80というモデル」が生産されたほどです。
平成10年1月に100系へとバトンタッチする事になりますが、様々なスタイルにカスタムが可能な80は日本ではもちろん世界中で根強い人気を誇り、生活四駆の足として、ファッションとして幅広いユーザー層に愛され続けているモデルです。
※ランクル80系の中古車情報とさらに詳しい解説はこちら※
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平成10年(1998年)1月~平成19年(2007年)8月 |
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大径アルミ×エアロ系スタイル
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丸目換装×クラシックスタイル
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ランドクルーザーシグナス
ランクル80の後継モデルとしてデビュー。
ジープBJの時代から続いた前後リジットサスペンションを変更、フロントに独立懸架方式のサスペンションを採用します。
これにより乗り心地と高速安定性はさらに増すことになりました。
80系に引き続き、耐久性と走破性を追求する本格派70系と並行してラインナップすることになりますが、乗用車感覚も追及する100系は益々高級志向を強め、静粛性と高速安定性をも兼ね備えるモデルへと進化を遂げる事となりました。
100系デビューより約1年後(平成10年(1998年)12月)にシグナスがデビュー。
当時海外ではトヨタブランドよりランドクルーザー、レクサスブランドよりLX470が販売となりましたが、日本にはレクサスブランドが無かったこともあり、レクサスマークをほとんどそのままトヨタマークに変えてシグナスとして販売したイメージです。
メーカーカタログも100とシグナスを分けており、それだけ特別な存在として扱っています。
今でも世界中で根強い人気を誇る100系は、ラグジュアリーなスタイルや四駆らしいスタイルなど、様々なスタイルで、様々なユーザー層に受け入れられている人気モデルとして定着しています。
※ランクル100系の中古車情報とさらに詳しい解説はこちら※ ※シグナスについてはこちら※
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平成19年(2007年)9月~ 令和3年(2021年)春 |
ランクル100系の後継モデルとしてデビュー。
100系から引き続きフロントサスペンションは独立懸架方式を採用しますが、100系ではトーションバースプリング式であった事に対し200系ではコイルスプリング式を採用することになります。
(リアは80系から変わらず5リンクのコイルスプリング式リジットサスペンションを採用)
世界初となるオフロード走行時での極低速を維持するクロールコントロールや日本初となる高速安定性とオフロード性能という相反する性能を高次元で両立する油圧式スタビライザーを装備するなど、まさにトヨタが持つハイテク技術を惜しみなく取り入れた集大成モデルと言えるランクル200。レーダークルーズコントロールやプリクラッシュセーフティーシステム、10エアバック、スマートキー&プッシュスタート他、安全装備や快適装備も惜しみなく採用します。
【The King Of SUV】との名前が相応しいランドクルーザー200は生産終了後も世界中で高く評価され、人気を誇るモデルです。
※上記に紹介した装備にはグレード・オプションにより装備の有無がございます※
※ランクル200系の中古車情報とさらに詳しい解説はこちら※
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令和3年(2021年)夏~ |
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デビューモデル(ZX)
ランクル200系の後継モデルとして、ランクル生誕70周年の節目である2021年夏にデビュー。
ディーゼル規制(NOxPM法)の影響もあり、国内ではランクル200系に設定されなかったディーゼルエンジンが復活しました。
歴代ランドクルーザーにおいて、『ランクル80』は歴代最高の悪路走破性を誇ると言われています。
今回のランクル300系はその『ランクル80』の悪路走破性を超える事を強く意識しており、ラダーフレームの再設計、ショックアブソーバーの角度の再設計、そして世界初採用となるE-KDSS(エレクトリック - キネティック ダイナミック サスペンション システム)の投入、ランクル80以来の前後デフロックの復活(GR-S)など、蓄積されたデータや経験に基づくハイテク技術を駆使した歴代最高峰の悪路走破性と走行安定性を両立したモデルです。
※上記に紹介した装備にはグレード・オプションにより装備の有無がございます※
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95プラド丸目換装
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90プラド 2ドアモデル
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78プラド クラシックスタイル
ランクルプラドとは本格派クロカン四駆のランクルに対し、“オフロードも走れる乗用車”をコンセプトに作られたランクルのライトモデルです。
ランクルプラドの始まりは「ランクルワゴン」。ランクル70系の乗用モデルをイメーシしてラインナップされます。
足廻りはランクルシリーズで当時採用されていた四輪リーフスプリングに対し、四輪コイルスプリングを採用。乗り心地の良さ、走行安定性も改善され、より乗用車に近いモデルとなりました。この時採用したコイルスプリングの経験を元に、ランクル80にコイルスプリングを投入することに繋がったのかもしれません。
デビュー当初は2ドアのみのラインナップとなりましたが、サブネームに「プラド」という名称が与えられた以降、70系プラド(71:ショート 78:ロング)・90系プラド(90:ショート 95:ロング)・120系プラド(125:ショート 120:ロング)までは2ドアと4ドア共にラインナップ。150系プラドからは国内では4ドアのみのラインナップとなります。
エンジンもランクルシリーズより一回り小さいエンジンが採用され、ランクルワゴンから71/78プラドまではディーゼル車のみのラインナップ、90/95プラドからはガソリンエンジンが追加、その後、120系プラドではガソリン車とディーゼル車が共にラインナップされますが、NOxPM法施行の影響も有り、2007年(平成19年)にディーゼル車は国内での販売は終了となります。
150系プラドは時代背景も有りガソリン車のみでのラインナップでスタートしますが、2015年 (平成27年) 6月、およそ8年振りにディーゼル車が復活しました。 ( NOxPM法適合のクリーンディーゼルです )
※ランクルプラドの兄弟車とは※ランクルプラドの兄弟車にはハイラックスサーフやFJクルーザーが挙げられます。共にエンジンやフレームなどを共用しています。
※ランクルプラドの中古車情報とさらに詳しい解説はこちら※
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LX450北米逆輸入車(日本未発売)
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LX470北米逆輸入車(日本未発売)
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LX570日本デビューモデル
LXはトヨタブランドから販売されているランドクルーザーをベースに、レクサス向けに上級に仕上げられた高級SUVです。
LXの始まりはランクル80をベースに制作されたLX450。レクサス初のSUVモデルとして北米市場にてデビューしました。
エンジン・ミッション・足回りなどは当時北米トヨタで販売されていたランクル80と同じ仕様、外観や内装をレクサスらしい高級感のある仕様で登場しました。
※LX450は日本未発売のモデルです。
2代目LXはランクル100をベースに制作されたLX470。当時日本にはレクサスブランドが無かったこともあり、LX470をほとんどそのままトヨタマークに変更してトヨタブランドで販売したモデルがシグナスです。
エンジン・足回り等主要部分はランクル100の上級グレード・シグナス・LX470共に同じ仕様となっています。
※LX470は日本未発売のモデルです。
3代目LXはランクル200をベースに制作されたLX570。LX450・LX470はベースとなっていたランクルモデルと同じエンジンを採用してきましたが、LX570はランクル200とは異なる新開発の5700ccを搭載して登場しました。
エンジンを異なる物を使用していることからもわかるように、LX450・LX470の際と比べてもより一層ランクルモデルとの差別化が進んだ印象のあるモデルとなっています。
LX570デビュー当初は日本では発売されなかったものの、2度目のマイナーチェンジの際に遂に本国日本デビューを果たします。
名実ともに世界最高峰SUVとして呼ぶにふさわしい特別なモデルです。
※レクサスLXの中古車情報とさらに詳しい解説はこちら※
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